時のすぎゆくままに

俗称:障がい者夫婦。上手くやれるわけないと否定された世の中を、なんとか、かんとか生きています。

クソ親父にチャンスを②

colors1971.hatenablog.com

 

その当時、私は諏訪湖のほとりに住んでいた。

幸いにも仕事の関係もあり、持っていたパソコンで周辺の弁護士事務所を探し、夕刻を眺めながら訪ね歩いた。

 

私は早足だったように思う。

 

『ほかの県?九州?あー、私んとこじゃ無理ですね。』

 

何回断られたか覚えていない。

 

ブラインドから灯りが漏れる場所に着いて、扉を開けた。

 

あの、すみません。ご相談なんですが・・

 

初老で白髪の男性だった。

 

『立ち話しじゃ、落ち着かないでしょ。まあ、座って。』

 

私は全てをその人に打ち明けた。

 

『わかりました。罰金は払えばいい。ただ、あなたのお父さんが更生できるかは・・』

 

ですよね。

 

『何回もパクられてるようじゃ、次は(刑務所に)放り込まれるのは確定だね。』

『それで、キミがお父さんの身元を引き受けたら、どうする気だい?

 世の中甘くない。前科者を安々と受け入れてくれる会社なんぞ、あるわけない。

 それでも、(身元を)引き受けるんなら・・・覚悟決めておいたほうがいい。』

『詳しいことは分からんが、失礼かもしれんが、あなたの親は、バカだ。

 そのバカを引き受けるってことは、振り回される。今までもそうだったんだろ?』

 

・・・はい。

 

『親のこころ、子知らず・・・の逆だな。』

 

その人は笑った。高らかに笑った。

 

『いいかい。君はここに相談に来たんじゃない。たまたま、私と知り合ったんだ。

 そして、今から私がいうのはアドバイスだ。お金はいらない。』

 

その人は話しを続けた。無心で私はメモをとった。