時のすぎゆくままに

俗称:障がい者夫婦。上手くやれるわけないと否定された世の中を、なんとか、かんとか生きています。

クソ親父にチャンスを①

colors1971.hatenablog.com

先述のブログに登場した(私の。認めたくはないが)父親には後日談がある。

 

祖父母の死後から数年。

 

私の元へ一通の電報が届いた。

差出人に覚えがない。

チチシキュウので、2、3日は放っておいた。

 

が、どうしても気になった。見返してみれば

 

チチ シキュウ カエラレタシ

 

父親に何かがあったのは分かる。しかし差出人に心当たりがない。

 

確かめたい

と、思った。

 

115に電話をして、電報の文書番号や到着日を告げたら、あっさりと解決した。

 

『差出人の方にご連絡致しますので、折り返しをお待ちください。』

 

2時間くらいあと。電話が鳴った。

 

『差出人の方から許可を頂きましたので、ご連絡先をお伝えします。』

 

走り書きでメモをとった。

 

そのメモ書きを見ながら電報の差出人であろう人に電話をかけた。

 

〇〇と申します。

大変恐縮ですが、私に電報を差し出されたのは、そちら様とうかがったのですが。

 

返って来た声は中年男性だった。

 

『あー、間違いねーよ。うちだよ。■■■だよ。』

それで、あの電報の意味は、その・・・なんなんでしょうか?

『あー、あれな。アンタの親父が、また事件を起こしちまってよ。

 今、警察に拘留中なんだけどよ。あと何日かで釈放されるんで、身元引受人・・・』

 

事は容易に想像できた。

 

あの、なんで、私の住所をご存知・・・

『あー、なんでも刑事課の連中がさ、オヤジさんの戸籍を調べたら、おまえさんの住所が出てきたんだわ。それ刑事さんが教えてくれてな。それで電報送ってみたんだわ。』

それで?

『いや、ウチじゃできねぇから。息子のあんたなら、と思ってさ。』

 

その人は言葉を続けた。

 

『妹さん・・・だっけ。頼んだんだけどよぉ。もう嫌だって、断られちまって。』

 

勝手に話が進んだ。

 

『あんたが引き受けるなら、罰金30万でムショイキは勘弁してくれるんだと。

 ただ、執行猶予はつくらしいけどな。』

 

私は、絨毯敷きの床に拳(こぶし)を押し付けた。

 

明日の夕方、ご連絡します。

『まあ、考えといてくれや。』

 

そのあと、閉まるか閉まらないかの弁護士事務所を訪ね歩いた。