新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
さて本日も早々に本題へ入ろう。
私たち夫婦が住む町のそばに、10年ほど前に誕生した住宅区画がある。
そこの住宅区画を取り囲むようにして、太陽光パネルが立ち並び、区画内にある住宅全戸の屋根上にも太陽光パネルが載っている。
屋根の色は全てグレーか黒。
そして住宅の形は全て同じで、異なる点を探すとすればアーティスティックに描かれた表札だけ。総戸数にして200戸余りといった感じだ。
各住宅には車庫が備え付けられているのだが、車の姿がある家はほとんどない。
日曜日の晴れた昼間に様子を見に行ったこともあるのだが、歩く人影はほとんどなく、その区画から出入りする車も、まばらだった。
市役所のアーカイブを見ると、そこは元々は工業用地だったらしく、その跡地を利用して区画を設けたらしい。
アーカイブ内のPDFに目を通すと次なる表記があった。
『持続可能なスマートタウン』
しかしながら、住宅にコンポストや区画内にスーパーもなければ病院もない。
なんなんだ。この異様な光景は。
これだけではなかった。その区画の中央には主線と思われる片側1車線の取り付け道路があり、それに沿う形で商業棟なるものが2棟あるだけだ。
商業棟の中身は、雑貨屋や高価格帯の書籍を扱う本屋、今流行りのカフェ、家具店、スポーツショップなどなど。
本当に居住を目的として作られた区画なのか。観光目的に作られた区画なのか。
主線と思われる片側1車線の取り付け道路の終端は広めに作られたロータリー。
そこにバス停もなければタクシー乗り場もない。
区画内には小さな広場的なものが点在するのだが、子供の姿がない。
おかしい。何かがちがう。直感的なものはすぐに浮かばないのだが、何かが違う。
確かに『ゴーストタウン』の名にはスマートだろう。
町は人が住み続けてこそ成立する。
その区画の隅には大手住宅メーカーの支店があった。支店は3階層で全ての窓のブラインドが閉められていた。
その区画に沿う県道にも問題あり。
県道であるにも関わらず片側1車線。
そして車道の路肩には自転車専用通行帯。
大型トラックが行き交う県道にだ。
こんな住宅区画に誰が住みたいと思うのだ。
市は『住みやすい街・暮らしやすい街』の旗を掲げ続けておるのだが。
たかだか市全体の人口が100人程度増えただけで、何が嬉しいのだ。
未だにその区画を横目に通り過ぎることがあるのだが。
ちぐはぐなゴーストタウンは存在感を示し続けている。