先日、高校時代冬休みのアルバイトをお伝えしたのだが
夏は、バス車体メーカーでアルバイトをしていた。
事の始まりは私が『バス車両好き』であって、バス車体メーカーへ『カタログ』が欲しいと総務課を訪れたことが始まり。
高校生の私に大型二種免許なんぞの持ち合わせはあらず。
なのに、総務課の人は丁寧に迎え入れてくれた。
これが、『路線向け』。
これが、『貸切向け』。
これが、『都市間輸送向け』。
と丁寧に説明してくれた。
また、エンジン・シャーシのメーカー区別はあるものの、車体の基本仕様は『同じ』か『ほぼ同じ』に揃えているとの説明もあった。
そして、夏休みが近づいたある日。薄緑のダイヤル式電話が鳴った。
祖母が、『車体工業って方から電話・・・』と告げて、私はその電話を代わった、
『夏休み良かったら、うちでアルバイトして頂けませんか。』
と。私は狂喜乱舞。即答して夏休み初日の朝、バス車体メーカーへ向かった。
新造のバスが客先への出荷待ちで並ぶ正門をくぐり、総務課へ向かうと、カウンターには白地に赤線が入ったヘルメットと作業着が準備されていた。
ここで着替えて、そこでタイムカードを押して、あれが作業場、と事を急ぐように説明を受けた。そして、作業場に到着後、天井を見て唖然とした。
陽が透ける古びた高天井で、その下に水平移動型の天井クレーンがあった。
しかし、その下にあったのは、化粧シートが貼られた薄型金属板の山と、石膏ボードの山。
そこで黄色いヘルメットの作業員たちが黙々と作業をしている。
手順としては、裏返しになった薄型金属板に接着剤を塗り、その上に石膏ボードを置き、石膏ボードに接着剤を塗り、化粧シートを表面にした薄型金属板を重ねる。
これで一枚の壁。
初日は単純だったが、日を重ねるごとに壁の寸法が複雑化していく。
縦寸法は同じでも横幅が違う。
なぜ、横幅が違うのか。と訊ねたら、この寸法はユニットバス横、この寸法は窓枠横・・・と丁寧に説明してくれた。
2、3ミリのズレは許された。
そして、私が作業をする横で、時に横長プレス機がゴットン!ゴットン!と動いていた。
この横長プレス機が薄型金属板のフチに5ミリ幅の折り目を付けていたのだ。
二人作業で、薄型金属板の端を横長プレス機の奥歯に揃える。
次に、一人がフットペダルを踏んだ瞬間に、ゴットン!
見事に直線の折り目は薄型金属板についていた。
季節は夏。作業場に大型扇風機が5、6台あったが、作業場内は40℃を超えていた。
高校時代のアルバイト(続編)===フォルトナ===② へ続く。