時のすぎゆくままに

俗称:障がい者夫婦。上手くやれるわけないと否定された世の中を、なんとか、かんとか生きています。

郵便配達-その3(裏舞台編)



郵便配達-その3(裏舞台編)

 

郵便配達は『配達』だけで成り立っているのではない。

郵便配達には事前に郵便物を『配達先』『郵便種別(普通郵便・速達・小包・書留等)』によって『区分け』をする部署がある。

今はほとんど『自動化』されているだろうが、年末年始は未だに『臨時区分棚』を集配局内の会議室等に設置し『手作業』で郵便物を分けている集配局もある、と聞いている。

この写真の区分棚は『スチール製』である。この細かく仕切られた棚の部分だけを『段ボール製』にしたものが、当時、あったのだ。

棚の横板表面には、『町名・番地』が記されていた。

企業や商店によっては平常日も郵便物が多いことがあるため、1マスを特定の『企業専用』『商店専用』とする場面もあった。

集合住宅の場合は、1つの建物で『1マス』。学校・官公庁・自治体等の施設も同じ扱いであった。

 

配達のアルバイト要員であっても、配達する郵便物の量によっては、15時~17時以前に集配局に帰着する場合がある。

その場合、臨時に設けられた区分室に向かい、翌日配達する郵便物と年賀状を先に分ける。配達を担当する者にとって、配達担当地域の郵便物の区分けは容易い。

担当地域だとハガキや封書の宛名で、住所や家の形・ポストの位置・ポストの大きさが容易に思いつくようになるのだ。

 

年賀状の区分け作業は当時、女性が多かった。

その女性が立ち並ぶ区分棚の前に『すみません・・・』と静かに割って入り、片手に持った年賀状の束を手早く区分棚へ分けていく。

『なんで、そんなに早くできるんですかぁ?』

と聞かれたこともあった。

 

ここ。俺の配達区域なんだよね。

 

と笑ってかえしながらも、区分けの手は止まらない。

 

17時近くになると、集配課の役職者がいつも来ていた。

 

配達担当者は下のフロアの区分棚の前へ・・・

 

そこから、また沈黙の作業が始まる。

 

たまにだったが、配達順路に沿って分けられてない郵便物がコンテナごと、区分棚の前に置いてあることがあった。

それを見つけて、翌日の配達に備える。

黙々と分ける。そして、配達順路を辿るかたちで束ねていく。

 

その後ろを郵袋(郵便ポストの中に入れる袋のことです)を3つ、4つと抱えた人が通ることもあった。アルバイト要員の中には配達の帰りに郵便ポストを数か所回り、郵袋を回収する人もいたのだ。

 

『おつかれさーん(笑)』

 

と背中から聞こえる声を聞きながら、黙々と作業を進ませる。

 

高校3年の1月末。私は工業高校だったので、すでに前年秋に民間企業への就職が決まっていた。

企業への赴任日は3月17日・・・だったかな。(苦笑)

なので、その赴任日まで『臨時アルバイト』として郵便局からお誘いがあった。

陽気的には『春の初め』。なので、年末年始ほどの『極寒』ではなかった。

 

その『区分』の速さも、『移動』や『対応』の速さも、未だに私の生活の中に生きている。