時のすぎゆくままに

俗称:障がい者夫婦。上手くやれるわけないと否定された世の中を、なんとか、かんとか生きています。

国鉄の最期のあがき「廃部品流用」で新型車両を

久々に鉄道のお話しを。

 

所用で出かけた時にリサイクルショップや模型店に立ち寄るのは、ほぼ恒例行事。苦笑

一部の古本買取店に「なぜか鉄道模型が置いてある」との噂を聞いて

お店に行ってみました。

 

それで、出会ったのがコレ。

国鉄キハ38形 手前 キハ38-0番台(トイレ付)※屋根上に水タンクが載っています 

        奥  キハ38-1000番台(トイレなし)

※写真は、登場時の「八高線カラー」。

 

一見、平成期に登場した電車風に見えますが、登場したのは1986(昭和61)年。

これが、なかなかの「わけあり形式」なんです。

車体および客室内は、ほぼ新造です。冷房装置は「バス用クーラー」を積んでいます。

 

※いずれの画像もWikipediaより引用

 

ですが、液体変速機・台車等はキハ35の廃部品(廃車発生品)を流用したもの。

↑↑↑ キハ35 車体外観

↑↑↑ キハ35 外吊り両開き式 客用出入り扉

※いずれの画像もWikipediaより引用

 

車体の新造は国鉄の大宮工場(埼玉県)、郡山工場(福島県)、幡生車両所(山口県)、長野工場(長野県)、鷹取工場(兵庫県)の計5工場が行いました。

 

エンジンは改造元車両(キハ35)の出力180PS(型式:DMH17H)を、新造した出力250PS(型式:DMF13HS)に載せ替えたものになります。

 

エンジン DMH17H製造は、

振興造機(現:神鋼造機)、新潟鐵工所(現:IHI原動機)、池貝製作所(現:池貝)、新三菱重工(現:三菱重工業)、ダイハツ工業(現:ダイハツディーゼル

DMH17Hの基本構想および設計完了は1941(昭和16)年。

 

エンジン DMF13HS製造は、

新潟鐵工所(現:IHI原動機)のみ

 

液体変速機はキハ35に搭載していた、腐食・摩耗の少ないものを流用。

※エンジンの性能を、液体変速機の性能側に寄せたものと思われます。

 

種車(改造元)のキハ35は、戦時中に設計したエンジンに、車体は戦後設計の新性能電車の101系・103系を基本にしたもの。。

なので、なんとなく中途半端感があります。



↑↑↑ 101系新性能通勤型電車 車体概要図 ↑↑↑ ※Wikipediaより引用

 

分類上は国鉄キハ35系 派生改造車⇒キハ38

 

参考:

形式 改造後 改造前 製造所
0番台 キハ38 1 キハ35 152 大宮工場
キハ38 2 キハ35 161 郡山工場
キハ38 3 キハ35 513 大宮工場
キハ38 4 キハ35 515 大宮工場
形式 改造後 改造前 製造所
1000番台 キハ38 1001 キハ35 153 長野工場
キハ38 1002 キハ35 201 幡生車両所
キハ38 1003 キハ35 516 鷹取工場

 

 

【個人の所見として】

この車体更新技術(廃車発生品流用を含めて)は、JR化後のキハ40・47(主にJR西日本)、103系(主にJR西日本)などの「車体延命工事」および「体質改善工事」やJR各社の自社製造車両に受け継がれていると思います。