私は両方に関わりました。
回収する側、される側。
今ほど楽な時代ではなかったと思います。
経営が悪化すれば、まず噂が流れる。
噂が流れれば、金融機関や出資者・株主は『いっせーの!知らん顔。』
今は更生法だの債権放棄だの、ありますが。
掛け売りだった仕入れが、現金のみ。
仕入れ先は高値でしか売らない。
『買うのであれば、ロットで買ってください。』
これが合言葉。
操業中だろうが、営業中だろうが、債権者・出資者は押し寄せます。
それを知った株主は売りに出ます。
再建を目指すのであれば、ひとことの弱音も許されません。
トップが『辛い』『苦しい』『無理』の一言でも漏らせば
終わりです。
再建が無理だと疑われれば、まるごと持って行かれます。
土地は外資へ売るか、差し出すか。
設備や人に価値はありません。
底値を知った株主は、証券会社や本社に押しかけます。
逆もありました。
債権を握った者は、我先に手を打ちます。
まず、周辺での聞き込み。張り込み。
貸し物件であれば合鍵を入手し、夜を徹してすべてを運び出します。
所有物全て。もちろん『ごみ』も。
所有物件であれば、売りの相場調べ。
下手をすれば、購入時の1/10なんて当たり前の時の話しです。
生命保険に入る代わりの融資とかも当たり前の話し。
でも私にはできなかった。
古びた機械に、すがる姿。
これは、こ、これは、先代から引き継いだものですから
そこへ怒声が飛びます。
『なにやってんだ!そんなもん、売れねぇだろぉがっ!』
その古びた機械、今も動いてます。
同じものが、今を支えています。
再建できたんですね。末永く。